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ジョゼのホスピタリティ精神 [ブラジル]


10/16|35日目
ひとり旅で行く 52日間ぶらり南米旅行記

10/16|35日目

7時半に起きる。パンタナールでは10時過ぎに寝て5時半に目覚める生活を送っていたためよく眠った気がする。朝食にはたくさんの種類のパン、パンケーキ、フルーツにコーヒー、紅茶、フレッシュジュースが並び、「朝食はアタリだ!」と胸を躍らせるが口にしてみると怪しい味わい。パンケーキが甘苦かったりフレッシュジュースはネットリしてて味がなかったり。宿泊客はオレ一人しかいないようだし日持ちがいいものを並べてほっといてる感じですね。
朝食をとりながら、今後の計画を練る。昨晩ジェシカが教えてくれたカーニバルまでは到底滞在することはできない。ブラジルを出国してどうするのか。最終的にどこまで行くのか。旅も残り18日。連休というものは過半を超えると終わりが散らつき始め、残りが幾日あろうと浮ついた気分が覚めてゆくものである。18日間なんて3連休6回分もあるのにこの不安感は何なんだ?
今後の計画を10時半までたっぷりと考えるが埒が明かないので町に出る。

すぐにボニートを出発することも視野に入れてバス停留所に向かうが「日に1本のバスは30分前に出たばかりだよ」と受付の兄ちゃんが親切に教えてくれる。

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photo by © HOSOI Toshiya

ボニート Bonito 。「美しい」という意味を冠した小さな町はその名の通り、周辺に水深の深い地底湖や美しい鍾乳洞がいくつもある。メインストリートの土産物屋を冷やかしながら1時間かけて宿に戻ると、今日1日をプチツアー参加に費やすことに決める。青の地底湖 Gruta do Lago Azul と、シュノーケルをつけてスクリ川 Rio Sucuri を流れ下るフローティングツアーに参加したいと宿のオーナーに伝えると電話を数本かけて手を回してくれる。「青の地底湖は今すぐ出発しないと間に合わないよ、スクリ川はあとでセッティングしておくよ」と急かされ、言われるがままにモトタクシーの後部シートに股がる。このモトタクシーが曲者だった。
渡航前、ブラジルの治安に少なからず死の不安を感じたものですが、今思えばこのモトタクシーに乗っている25分間が死を意識した唯一の時間です。大袈裟な話ではないです。

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photo by © HOSOI Toshiya

赤茶けた舗装されていないでこぼこ道を125ccのバイクでぶっ飛ばす。運転手は腕時計をチラチラと眺め、18キロ、通常40分の道のりをなんとか間に合わせようと躍起になっている。コーナーを曲がるときは車体を大きく倒してやり過ごし、バイクがやっと通れるほどの木橋をノーブレーキで跳ね越え、時速70kmを何とか維持しようとしている。普段バイクを運転する人は他人の2ケツが怖いなんて言いますが怖いにもほどがある。2ケツの乗り方もよくわからないし、1100ccのバイクとは明らかにブレーキのタイミングが違うのでカーブが近づくと身を強張らせ、ドライバーの脇腹を締め付ける。カーブをやり過ごすたびにドライバーは「運転の邪魔をするな、そんなんじゃ間に合わないよ!」と怒鳴りつけてくる。カーブのたびにそのやり取りをコントのように繰り返す。「間に合わなくてもいいから安全運転してくれ」とポルトガル語で何て言えばいいの?
オレは頭がでかいのでメットは首にかけたままだったし、半袖短パンだったし、事故ったら死なないまでも首にかけたメットが災いして首の骨を折るだろうなとか、後輪に足首を巻き込んで切断するだろうなとか嫌なことばかりを考える。カーブが近づくたびに、荷物になりきるんだ!ドライバーに命を預けるんだ!と自分に言い聞かせるんだけど結局覚悟しきれなかった。人間というのは何度もそういうできない覚悟を決意し続けるべきではない。無事到着したときはヘットヘトで足ガックガクでヒップバックのポケットにあるはずのペットボトルや小物が吹き飛んでいる。ただただ無事で良かった。

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photo by © HOSOI Toshiya

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photo by © HOSOI Toshiya

ツアーは5分前に出たばかりだったのですぐに追いつく。ガイドのおねえちゃんプラス3人という小規模パーティに合流し鍾乳洞の中を進んでゆく。ガイドのおねえちゃんは英語ができなかったけれどもサンパウロ在住オーストリア人の兄ちゃんとブラジル人中年夫婦の旦那が丁寧に英語に訳して教えてくれる。足場に気をつけながらひんやりとした鍾乳洞を下って行くと青く密やかに光る美しい地底湖が現れる。ツアー客の汗や血で湖水の透明度が落ちるということで数年前から水際に近づくことはできなくなってしまったけれどもそれでも息を呑む青さ。1時間ほどかけて地底湖を巡り、地上へ。
旦那がビールをおごってくれたのでベンチでひと休み。ビールを飲みながら皆でお昼でも食べようという話になり旦那が車に乗ってゆけと声をかけてくれる。あのバイクにはもう乗りたくないと思っていたので渡りに船でご一緒することにする。バイクの運ちゃんは往復のお金を渡してあるはずなのにさらにキャンセル料を払えと言う。「オブリガード!」と言って笑顔で握手するとニヤッとして何も言わなくなった。

国境の町ポンタポランから日帰り旅行に訪れたジョゼとマリー、オーストリア出身でサンパウロのデザイン事務所で働いているギアフリーツの4人でボニートのメインストリートにあるレストランへ。オレの旅のレベルからするとちょいと高めのレストラン。
マリーは英語が喋れないしオレはポルトガル語が喋れないけれど、ジョゼは充分に大人で良く気が回る人なので皆が退屈せずにおしゃべりをすることができる。料理を注文するのも忘れるほど話が盛り上がる。
ジョゼは「ボニートのメインストリートが舗装されてしまった」と嘆いている。メインストリートの角を曲がればどこも未舗装なのだから許容範囲じゃないかと思うのだけれど、そのたった1本の舗装道路にブーブー言うのって正しいなと今は思う。

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photo by © HOSOI Toshiya

ステーキをガッツリと頼み、たらふく食べる。こんなにおいしい料理を食べるの久しぶりだなぁ〜、としみじみ。肉柔らかい。ブラジルでは肉がドデカイので半分食べた時点で焼き直してもらう文化があるのを知る。カシャッサとビールをがぶがぶ飲み、互いの国の政治や文化の話、住所や言葉の仕組みなど寄り道、回り道を繰り返して話をする。3人とも自分より年上で「若いな〜」なんて言われるとなかなか良い気分である。
「最近、ジョルジ・ベンにはまってるんですよね〜」とギアフリーツ。
「オレは昔から大ファンだよ、最高だよな〜」なんてジョゼ。
「僕も大好きで7枚ぐらいアルバム持ってますよ!」なんて話しをするとさらに意気投合。

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photo by © HOSOI Toshiya

ギアフリーツは如何にもデザイナーって感じで、ふた言目には「でもあのドキュメンタリー映画では、、」みたいな話し方をする。で、ジョゼが「いやいやいやいや」みたいな話になって「トシヤ、ちょっと待ってろ」と言ってエキサイトしてギアフリーツに言い聞かせている。休日がそんな感じで過ぎていってマリーは平気なのかしらと心配するほど時間は過ぎてゆく。
あ〜スクリ川のツアーの時間が、とか宿のオーナーに連絡とらなきゃな〜、とかふと思い出すんですが酔っぱらっちゃって盛り上がっちゃって、夕方になり、さらには夕食を注文する。
セックスを表すポルトガル語は何種類ある?とか日本では連れ込み宿はラヴ!ホテゥ!なんて皆で連呼して夜は更けてゆく。気付けば11時半。互いに連絡先を交換し合い、ギアフリーツとは「サン・パウロ」と「ギアフリーツ」のカタカナアウトラインデータを送る約束をして席を立つ。会計になると上機嫌のジョゼが「ブラジル人のホスピタリティを見せてやる!」と宣言し全額おごってくれた。

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photo by © HOSOI Toshiya

宿までは歩いて百メートルもない。パンタナールツアーでのコミュニケーション不足を補って余りある会話をし、夜道を歩きながらこんな1日で良かったのかしらと思うのだから人間は勝手なものである。11時40分に部屋に戻り、少しすると宿のオーナーが怖い顔して部屋に現れる。
「連絡が取れないからポリスに連絡しようと思ってたんだぞ」と仰る。事情を説明し、ほろ酔いで平謝り。無事だから良かったものを、と静かに怒られ反省。すんませんでした。オーナーが去るとそのまま寝てしまう。

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posted by: トシ★細井

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