パタゴニア あるいは風とタンポポの物語り | 椎名 誠
@furontorsan におすすめいただいた「パタゴニア あるいは風とタンポポの物語り」読みました。10代後半に何度か椎名 誠の本を読む機会がありましたが結局読まず仕舞い。この歳になって初めて読んでみました。
南米大陸の最南端、風と氷に閉ざされた大秘境パタゴニア。チリ海軍のオンボロ軍艦で、マゼラン海峡からビーグル水道へ、そしていよいよ吠える海、ドレーク海峡へ。海の男たちでさえ船酔いするという厳しい船の旅。コンドルが飛ぶ巨大な蒼空のもと、荒野をジープでひた走る内陸部の旅。だが時折胸を塞ぐのは精神的危機に陥った妻の面影だった。パンパで見た黄色いタンポポに妻を想う。冒険と愛の物語。
個人的にもパタゴニアを訪れ、プンタ・アレーナスやビーグル水道を巡ったりしたので、文中の具体的な記述を親近感やセンチメンタリズムを持ってなぞることができました。
椎名サンが世界で一番好きな場所、それはマゼラン海峡を眼下に見下ろす、チリのプンタアレーナスという町。
町で椎名サンが定宿にしていたのが『ホテル・モンテカルロ』。ところが「5年くらい前に久しぶりにそこに行ったら女主人が『また日本人だね』って言うんだ。『うちは日本人が多いのさ、なぜなら、この本にうちの事が書いてあるんだよ』と出して来たのが『地球の歩き方』なんだよ。『ホテル・モンテカルロは作家の椎名誠が愛用した宿である』って書いてあってさ」と笑う椎名サンでした。
via 椎名誠的 ラジオ地球の歩き方・スタッフ日記(その21)
ということで僕も「地球の歩き方」を読んでこの宿に泊まりました 笑。ミーハー的な思いはなかったのですが何よりもこの界隈で一番安かったのです。
プンタ・アレーナスは24時間程度しかいなかったのですが確かにものすごく感じの良い町でした。マゼラン海峡とそれを見渡す丘陵というシンプルな構図が町の根幹をなしており、箱庭的なかわいい印象があります。
文中、ホテル・モンテカルロの女中さんの記述を読むに付け、滞在中お世話になった女中さんを思い描いていたのですが、実際のところは滞在時期に23年の隔たりがあるんですね。読了後「あ〜、あのボインの姉妹ではなく、あの女将と思しき女性の若かりし頃の時代が描かれていたのだな」とハタと気付くのでした。
posted by: トシ★細井
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