HOME南米の映画ディス・イズ・ボサノヴァ|Coisa Mais Linda: Historias e Casos da Bossa Nova

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ディス・イズ・ボサノヴァ|Coisa Mais Linda: Historias e Casos da Bossa Nova


甘いな〜、ボサ・ノーヴァ

甘いな〜、ボサ・ノーヴァ

瞳を閉じて耳を澄ませると聴こえてくる......リオの潮騒と、ボッサのリズム。
ボサノヴァ誕生から現代まで、貴重なアーティストたちの映像と証言で綴った奇跡のドキュメンタリー

50年代後半から60年代にかけて隆盛を誇ったボサノヴァを勉強できるドキュメンタリー映画です。
2007年夏、渋谷Q-AXシネマで公開され、初日・二日目合計動員、興収新記録、洋画最長上映週数記録を樹立した話題作だったらしいのですが全く知りませんでした。
ブラジル音楽というとサンバを好んで聴くのですが、サンバに比べるとボサノヴァはあまり聞きこんでおらず、聞いたとしてもそのバックグラウンドに気を配っていませんでした。

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50年代、切実で暗いトーンだったブラジル音楽に嫌気が差した中産階級の学生や若いミュージシャンが明るく洗練された音楽を模索していったのがボサ・ノーヴァ(新しい傾向)。そのサロン的役割を果たしていたのがナラ・レオンのマンションで、ナラ・レオンの小生意気なスチール写真やささやくような歌声にグッときました。このささやくような歌声とスツールに座ってギターをつま弾くスタイルがボサノヴァをボサノヴァたらしめているらしいんですがその出自は、壁の薄いマンションに集まっていたからだと冗談めかしく話しているのがユニークでした。
当時の若者はアメリカの音楽、特にフランク・シナトラの影響を強く受けていたそうで、「あー、その辺の時代だったのね」と初めて認識できました。

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© VITORIA PRODUCOES

ボサノヴァ隆盛の中で重要な役割を果たした作曲家アントニオ・カルロス・ジョビン、作詞家ヴィニシウス・ヂ・モライス、歌手ジョアン・ジルベルトについて、映画の中盤から後半で語られていきますが、皆の兄貴分で作家で外交官でもあったヴィニシウス・ヂ・モライスが気になりました。
Wikipediaによると9度の結婚をした人物で、それを裏付けるように甘〜い甘〜い詩を書いています(64年のクーデター後、左翼的な思想を理由に外務省を首になったそうです)。ヴィニシウスに限らず、ボサノヴァの詩はとても甘いです。「や〜、ラテン系にはかないませんなぁ」と映画見ながら思いました。よくもまぁこんなに手を変え品を変え、アムールアムール言ってるなぁ、本当に感心します。デジマ感心。

トム・ジョビンの音楽はビートルズの次に演奏された音楽だそうですがそういった認識も持ってなかったですね〜。ジェリー・マリガンが好きなんですが映画の中でトム・ジョビンとチラッと演奏してますね。

ボサノヴァは前述した64年のクーデターを機にジルベルト・ジル(ブラジルのさぶちゃん)などのトロピカリア・ムーブメントに呑み込まれて、衰退していきます。
ボサノヴァは私には甘すぎてあまり聞くことはないと思うのですが、一年に数度はレコードに針を落とすかもしれないのでその時にこの映画を思い出してみようと思います(ナラ・レオンはグッときたのでナラ・レオン週間を作って再度聞き込んでみようと思います)。
ということで全編を通して流れる美しい旋律を鑑賞してみるのも良いと思います。誰もが一度は耳にしたことがあるという点もいわゆる音楽ドキュメンタリーというジャンルの抵抗を外してくれるのではないでしょうか。

この映画をきっかけにボサノヴァ音楽の背景や現在を掘り下げている記事を見つけたのでリンクしておきます。

ボサノヴァはあくまでブラジルでは1958年から1963年に一時的に流行った音楽です。
今やブラジルでは懐メロと化してしまっていて、ボサノヴァを全く知らないブラジル人も増えてきているようです。
(中略)
軍事政権当時の心境やその後のナラ・レオンとの関係などにまったく触れない姿勢には疑問を感じざるをえません。カルロス・リラやナラ・レオンがどんな気持ちでボサノヴァを離れ、そして舞い戻ったのかを掘り下げていけば、結果としてボサノヴァという音楽が持つ魅力がより伝わる、一歩深い内容になったのではないかと思います。
via 映画のメモ帳+α

This is BOSSA NOVA|ディス・イズ・ボサノヴァ

渋谷 Q−AXシネマ、吉祥寺バウスシアターほか連続ロードショー
http://www.wisepolicy.com/thisisbossanova/

原題:COISA MAIS LINDA: HISTORIAS E CASOS DA BOSSA NOVA
監督・脚本:パウロ・チアゴ
製作:グラウシア・カマルゴス
出演:カルロス・リラ/ホベルト・メネカスル/アントニオ・カルロス・ジョビン/ヴィニシウス・ヂ・モライス/ジョアン・ジルベルト/ナラ・レオン/ワンダ・サー/ジョイス/ジョアン・ドナート/フランク・シナトラ/ジェリー・マリガン
製作国:2005年ブラジル
上映時間:129分
配給: ワイズポリシー

© VITORIA PRODUCOES

posted by: トシ★細井

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