HOME南米の南米旅行ビーグル水道をゆくクルーズ [パタゴニア]

広告: アウボラーダ‐Lanchonete & Bar ALVORADA


ビーグル水道をゆくクルーズ [パタゴニア]


10/27|46日目
ひとり旅で行く 52日間ぶらり南米旅行記

10/27|46日目

8時起床。この宿は朝食付き。フライパンを借りて目玉焼きを作り、パンとコーヒーでサクッと済ます。9時過ぎ町の目抜き通りでチリペソを両替し、アルゼンチン航空の支店でウシュアイア Ushuaia からエル・カラファテ El Calafate 、エル・カラファテからブエノスアイレス行きの航空券を購入。成田までのルートがこれで確定した。もうこの旅も終わりです。
ツアー会社を2件まわり本日午後のクルーズチケットを購入。精力的に動き回り、雰囲気の良いカフェでひと休み。ショコラを飲んでいると店内には昨晩の夕食時にステーキハウスにいた兄ちゃん。お!と互いに目が合ったところでテーブルに近寄ってきて屈託のない笑みでガッチリ握手。通常の観光地ではここから何かを買わされたりと商売の話になってゆくものですがアルゼンチンではそれがない。このアルゼンチン人独特の気高さみたいなものは各地で感じてきた。

自分の履いているシューズはアディダスのチャリンコ用のヘロヘロスニーカー。ツアー会社で応対してくれた女性がその靴ではこの先の観光は難しいですよとアドバイスしてくれたので、トレッキングシューズを求めてスポーツショップをまわることにする。この地域はシエスタの習慣があり(春夏は日が篦棒に長い)、ほとんどの店が扉を閉じている。さすがはウインタースポーツの本場、時間を潰して出直すと品揃え抜群です。サロモンのトレッキングシューズを大枚はたいて購入。厚手の靴下を購入したりと、数日間の北国生活の準備に精を出す。手袋だけは気に入ったものがなくて後回しにしたのですが午後のクルーズツアーで後悔することに。

DCimges 1628
photo by © HOSOI Toshiya

15時。観光桟橋 Muelles Turisticos へ。波止場のベンチでチョコクッキーを食べていると港のおっさん達にいじられる。昼食を乱暴に済ませ、いざビーグルクルーズへ。
ウシュアイアのあるアルゼンチン側と対岸のチリ側の間を流れるビーグル水道 Canal Beagle 。このビーグル水道をフェリーで巡り、アザラシや海鵜の繁殖地となっている岩礁、ペンギンコロニーを行くツアー。一番離れたペンギンコロニーまでは直線距離65km。象徴的な灯台や対岸にあるプエルト・ウイリアムス Puerto Williams (チリ領)という村も遠くから眺めるとのこと。

港のおっさん達に手を振り振り、船内に入るとどうも雰囲気がおかしい。お金持ってそうな中年や老年の人々が大半。若い人もいるんだけどバックパッカーとは違って女性は髪艶やか、男性はひげ剃り痕も眩しい、育ちの良い感じのグループやカップルばかり。場違いツアーです。
それほど高いツアーではないんだけどな〜、失敗した。そんなわけで俺は一番眺望の悪い、真ん中のテーブルで控えめに身を窄める。家族と思しき5人組みが出航間際に乗り込んできて、テーブルをシェア。フェリーが動き出す。

DCimges 1632
photo by © HOSOI Toshiya

総勢60名ほどのツアー客は出航すると意気揚々と甲板に上る。ご多分に漏れず自分も甲板に上る。船から見えるものは紺碧の海に低くたれ込めた灰色の雲、その境界をギザギザに切り刻む白い山脈の刃。その3層にぐるり四方を囲まれて、美しいというよりは心細さが先に立つような荘厳な風景。ちっぽけなフェリーの中でのみ人間の存在が許されている。
静謐で、極上に冷え込んだ空気に、情け容赦なく強い風が吹き付け10分も経たずに身体全体がブルブルと震え上がる。風は身体全体にプレッシャーをかけ続け、皮膚の露わな箇所はすぐに感覚を失ってゆく。冬にバイクを飛ばすようなもので、音を上げて客室に戻る人々多数。甲板に残る人々の中に漂うのは我慢比べの様相。目と目が合うと互いに目を丸くして風の強さに驚いて見せ、励ましあうように微笑みを口元に浮かべる。

DCimges 1664
photo by © HOSOI Toshiya

DCimges 1634
photo by © HOSOI Toshiya

遠目ペンギンそっくりの海鵜やアザラシの生息する岩礁に近づくと、無味無臭の透き通った空気に獣の臭いが滲み始める。この吹き止まぬ風の中で完全に獣の臭いに包まれると「たいしたものだな」と感心したくなる。
カメラ撮影ポイントということで人々が甲板に押し寄せ、シャッターを押し始める。色とりどりのウェアに身を包んだ人々と10数メートル先に対峙する動物たち。自然もすごいけど人間もすごいです。手に持つカメラは9割、日本製のカメラ。

DCimges 1650
photo by © HOSOI Toshiya

DCimges 1642
photo by © HOSOI Toshiya

DCimges 1643
photo by © HOSOI Toshiya

DCimges 1652
photo by © HOSOI Toshiya

DCimges 1697
photo by © HOSOI Toshiya

ペンギンコロニーである Isla Martillo や森林限界値、エクレルール灯台 を Faro Les Eclaireurs 見て回る。プエルト・ウイリアムスというチリ側の最南端の村も船上から眺める。50年後にはこの村が町となり、最南端の町として観光の恵みを享受するのだろうか。

DCimges 1665
photo by © HOSOI Toshiya

帰りの船では皆、船内に戻り、お喋りをしながらウシュアイア到着を待つ。ひょんなことで同席のスペイン人家族達と話を始める。やさしい母さんにジョナサン・プライス似の父ちゃん、元気な娘にご近所の若夫婦という5人組み。若い娘のパウラがカワイイ娘で目をぐるぐると回して表情豊かに会話をし、家族皆にスペイン語で伝えてくれる。パウラの母さんは俺がひとりで旅をしていることを「私には絶対出来ない」「なぜひとりで旅してるんだ」「信じられない」と繰り返す。時々こういう女性がいるんです。自分には理解できないとただ繰り返すだけ。しかもヒツコイ。ほっとけよ!まぁでも旅好きのパウラが良い感じにフォローしてくれて嬉しかったのですが。
そんなわけで仲良くなって記念写真をパチリ。とても楽しく会話が弾み、場違いツアーも悪くないなとご満悦。メアドを交換しあいパウラファミリーと別れる。チャオ!

DCimges 1702
photo by © HOSOI Toshiya

DCimges 1705
photo by © HOSOI Toshiya

DCimges 1708
photo by © HOSOI Toshiya

9時を過ぎ、近くのバイキング形式のレストランへ。このレストランは肉団子やいかげそ、かに玉などとアルゼンチンならではの分厚い肉を同時に楽しめる。繁盛していて地元客がひっきりなしに訪れる。給仕、料理人は皆中国系の人々で同じ東洋系の俺に軽口をかけてくれる。ウシュアイアの人々が食事を堪能しているのを見ていると中華料理は偉大だなぁとしみじみ思う。美味い。

DCimges 1911
photo by © HOSOI Toshiya

宿に戻り同室のUKの4人と世界中を旅しているUKのおばちゃんとカードゲームを楽しむことに。ガンジャを売り買いするカードゲーム、その名も「grass」。パトリック・スェイジ似の兄ちゃんが快活にわかりやすくゲームのルールを教えてくる。奥さんも元気な人で、話を聞くと2人とも体育の先生だということ。何かの話の流れでこの体育教師に「You can do it !」と言われたのですが、妙に言霊があったので、通りでと合点がいく。
UKのおばちゃん、スザンヌは家賃収入を当てにして2年も旅を続けているという。今まで世界中を回った中で一番好きなところはイグアスの滝だとのこと。ワインやビールを飲み干し、ヘロヘロになってベッドに横たわる。眠る。

ひとり旅で行く南米旅行記「アルブラ2006」インデックス

[リアルタイム更新]
1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12,
[ふりかえり日記]
2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 50, 51,

posted by: トシ★細井

南米情報をお寄せください。編集員も募集しています。


● アグイジェ.netにカンパ

関連記事


トラックバック

コメントくださいな
● 名前
● Eメール
● URL
● コメント
● キャッシュ


● サイトマップ_南米情報


このページのトップへ